アルマダ ARMADA
アーネスト・クライン
2015
80年代から、こういう妄想ってあったよなー。当時だとゲームセンターのシューティングゲームが実際の攻撃訓練になっていて、強い人が選ばれて実戦に使われるとか、ゲーム自体が実戦とつながっているとか。
SFでもあったよね、「エンダーのゲーム」「終わりなき戦い」とか。
21世紀だもん。リミックスだよおっかさん。
生まれてすぐに19歳の父ちゃんが事故で死んじゃった主人公のザック君。ゲーム中心の生活で寝ても醒めてもゲーム。宇宙空間での異星人との戦争ゲーム「アルマダ」はネットゲームで、バリバリのゲームPCを使って、ザック君、いまや全世界のランキングで6位! 高校卒業も迫るなか、進路も決めず、卒業もぎりぎりの状態だけど、ランキング6位! アルマダの世界では超有名人なのだ。
死んだ父ちゃんは、SFファン、SF映画ファン、ゲームマニア。
こりゃあ父ちゃんの血を色濃く引いているなあ。
母ちゃんは息子の高校卒業が心配、その先が心配、でも、息子が命を賭けているゲームを止めるほど野暮じゃない。だって、そんな父ちゃんを愛した母ちゃんだから。
ザック君、授業中に外を見ていたら、ゲームの中で出てくる戦闘宇宙船と同じ機体が空を飛んでいるのを見てしまう。さて、これは幻覚か、それとも本当の世界が目の前に現われたのか。そういえば、父ちゃんは、この世界に隠された秘密があると信じていて、そういう調査ノートを作っていた。あんまりに「陰謀脳」だと思ったから、そのノートのことは捨てるつもりだったのだけど、もう一度、そのノートを見なきゃ。ゲームもなんだか大きなイベントが夜に控えている。同級生の悪ガキはおとなしい同級生をいじめているし、むかつく。高校生も大変だ。助けになるのは、バイト先の中古ゲームマシン店のおおらかな店長ぐらい。長年、つぶれもせずに、ザック君をやとっては、二人でゲームを楽しんでいる。
おーい、それってちょっとあやしくないかー。
というわけで、ネタバレが怖くない作品だ。
当然、ザック君の目の前に宇宙船がやってきて、ザック君をリクルートする。
当然、戦いは始まるし、戦いになると、あの人がやってくるし、敵はあれだし、結末はあーだし。大丈夫、みんなどこかで知っている話だから。
いや、これまでSF読んでなくても大丈夫。
「スターウォーズ」は見たかい? 「スタートレック」「未知との遭遇」「ET」「2001年宇宙の旅」「エイリアン」「トランスフォーマー」「パシフィックリム」「メン・イン・ブラック」あははははっは。どれか見てればだいたい分かる。
「ガンダム」でもいい。
読める、筋書きが読めるぞ。ハリウッドエンターテイメントの匂いがする。
いや、けなしているんじゃない。
軽く楽しく、SFファン魂を昇華してくれる。
2018.5.7