三惑星連合軍

三惑星連合軍
TRIPLANETARY
E・E・スミス
1948
 レンズマンシリーズ6冊の最終刊であり、シリーズの前日譚であり、レンズマン以前の話であり、書かれたのが最初の1934年である作品が本書「三惑星連合軍」である。
 で、本シリーズは新訳の小隅黎訳と旧訳小西宏訳がある。小隅訳はシリーズ最初の「銀河パトロール隊」しか読んでいなくて、子どもの頃から小西訳だけを読んできた。翻訳の初版は1968年! 手元には1977年19版!がある。SFと文庫本には良い時代だ。19版って!1965年生まれの私は、本書を12歳の頃に読んでいる。最初にレンズマンシリーズに遭遇したのは10歳前後に小学校の図書館で読んだジュブナイル。その本筋は、この三惑星連合軍をベースにレンズマンの色づけがしてあったように思う。もう40年以上前の遠い記憶だ。
 本書「三惑星連合軍」では、シリーズ全体の背景を地球の歴史から書き起こす。それはもちろん仮想、空想の物語であり、アトランティス、ローマの次は第1次世界大戦の1918年、第2次世界大戦の1941年、第三次世界大戦と続き、第三部で三惑星連合軍の物語が語られる。レンズマンシリーズだが、まだレンズはない。シリーズ5作品目の「ファーストレンズマン」が「三惑星連合軍」と「銀河パトロール隊」の間に入るのだ。
 どうしてこういう出版になったかというと、書かれたのは「三惑星連合軍」の主要部分が最初だけど、太陽系を軸にした「三惑星」は評判が悪く、その後書かれた「銀河パトロール隊」は「銀河」だから評判が良くてシリーズ化され4部作が第2次世界大戦をまたぐ形で出版され、大成功をもたらす。そこで、この4部作に、前史である「三惑星連合軍」と、そのミッシングリングにある「ファースト・レンズマン」が書かれ、整理されて出版となった、そういうわけである。
 一度でも「レンズマン」に触れているならば「三惑星」からだと時系列的に正しいが、やはり出版順に読む方がいいような気がする。
 新訳は読んでいないが、正直言って、訳は古い。50年前だもん、古くて当然。
 心の中で翻訳し直して読もう。
「レンズマン」シリーズの主人公であるキニスンの先祖がたくさん登場するから、楽しみにしていて。
(2019年7月)