映画 地球最後の日

When Worlds Collide
1951

 ルドルフ・マテ監督作品、制作ジョージ・パル、配給パラマウント。SF映画の古典のひとつである。原作はフィリップ・ワイリー&エドウィン・バーマーが1932年に発表した同名のSF。
 こちらについては、
https://inawara.sakura.ne.jp/halm/2005/05/04/when-worlds-collide/
に詳しく書いている。

 原作が戦前、映画も戦後すぐであるが科学的考証については、1950年当時からしても荒唐無稽なものである。それをおして映画作りを楽しんでいる制作陣の熱のようなものを感じる。

 ストーリーはこんな感じ。
 地球に巨大な放浪惑星ベラスと地球と同じぐらいの惑星ザイラが急速に近づいていることを天文学者が発見する。ベラスが地球への衝突コースであることを研究者たちは検証し、惑星ザイラに移住し人類が生き残れるわずかな可能性にかけて世界中でロケットをつくるよう提言するが、衝突しないという科学者もあり、対応は遅れてしまう。
 しかし、一部の研究者と支援者がロケット製造に乗り出す。地球最後の日までの残された時間は短い。そして、本当にザイラで生き残れるかどうかさえ分からない。わずかな人数のために大勢の人間がプロジェクトに関わる。ロケットに乗れるかどうかは最後の最後にくじで発表される。わずかな希望、かすかな希望。そしてロケットは破滅直前に地球から脱出するのだった。
 極限状態に置かれたとき、人はどのようにふるまうのか。愛を見つけるのか、個の生存本能のままに動くのか、それとも未来の希望のために自己犠牲を厭わないのか…。
 滅亡パニックものの定番である。
 のちの多くの映画や特撮ドラマの原型ともいえよう。
 なかでも「ロケット」は、20世紀前半のSF造形の典型のような形である。金色に光り輝く涙滴型にで先端は鋭く尖り、後端はイルカを思わせる尾翼(着陸翼)。射出レールに乗ってすべるように打ち出される「未来美」である。
 あこがれの未来。来なかった未来でもあるのだが。

 21世紀の今となっては突っ込みどころ満載である。
 ひとつずつ科学的に突っ込みながら見るのも楽しいかも知れない。