アンドロメダのA
A FOR ANDROMEDA
フレッド・ホイル&ジョン・エリオット
1962
初読。フレッド・ホイル博士のアイディア満載。
1960年代後半、イギリスに世界初の電波望遠鏡が設置された。稼働初日、明らかに人工的な信号をキャッチした。結構強い信号だ。人工衛星や航空機ではない。アンドロメダ銀河から届いている信号は、繰り返し同じデータを流していた。
第3次世界大戦前夜、軍は新しい情報と兵器を欲していた。
仮想の敵が飛ばす飛行体を捕捉できても、それを落とすことさえできない現実、つのるいらだち。
そこに登場するは、電波望遠鏡の解析システムを開発した低温物理学とコンピュータを専門とする科学者ジョン・フレミング。ジョンがデータを解析すると、今風に言えば、コンピュータの設計&OS&アプリケーション群&データであることが分かった。
軍のコンピュータを利用し、新たなコンピュータを設計、そして、指定された計算をすることで、何かが分かるはず。何かがうまれるはず。
暗躍するスパイ、政治、軍。
くさるフレミング、なやむフレミング、高揚するフレミング、追い出されるフレミング、そして、解決するフレミング。
で、こっから下の方はネタバレだからね。
ちょうど同じタイミングで、ポール・ブロイスの「天国の門」を読む。電波望遠鏡で異星からのデータを受信する。人類の果てない夢のひとつである。ジョン・ヴァーリーの「へびつかい座ホットライン」、マイクル・P・キューピー=マクダウエル「アースライズ」など、多くの作品がある。逆に、人類のデータを送って、人類を異星人の手で復元してもらうなんてSFもあった。ドナルド・モフィットの「創世伝説」なんてのがそうだ。
たしかに、データが正しく解析されれば、理屈の上ではも確実な宇宙旅行の方法だよね。
データ化という理屈づけができたり、電波望遠鏡といったガジェットが登場したことで、真実味をもってこういうことが語れるようになったけれど、この思考の指向性は、もっともっと古くから人類の脳にこびりついているのではないだろうか?
移動する衝動、移動する先に何かがあるという希望や期待、遠くに異人がいて会えるという希望や期待、新しい知恵や情報が遠くに行けば得られる、遠くから来た知恵や情報は使えるという確信。なんだろうね、この刷り込み。
それは、たとえば、神や宇宙人ということではなく、やはり、解析可能なことではあるのだろうけれど。
(2015.5.27)
下にネタバレメモあり。
ネタバレのひとつ。
コンピュータは、応答の中で、地球の生物、相手となる人類のことを学び、そして、人工生命を人類に作らせる。異星の知性コンピュータと連動した人工生命は人の似姿をとり、あたかも予言者として世に現れる。
さて、フレミングはどうする?