複成王子
THE FRACTAL PRINCE
ハンヌ・ライアニエミ
2012
「量子怪盗」の続編。3部作とのことなので、最後まで読んでから感想。
とにかく、とっつきにくいのは、こちらに教養がないから。アラビアンナイトの世界ですもの。魔神がいてさ、跳梁跋扈。
話はポスト・シンギュラリティの太陽系。彗星系、火星、月などで人は生きている。仮想空間でも人は生きている。仮想空間と現実空間の間に、人は生きている。開祖と言われる超越した存在の系列(上位から枝のように人格が一部分岐されて存在する同一の精神を持つ存在たち)の間にも、なんらかの方向性をめぐっての争いがある。
前作で脱獄に成功した主人公の怪盗ジャン・ル・フランブールと、それを助けた宇宙船の船長であり戦士であるミエリ、ミエリが救った?作った?船の人工知能のペルホネンは、本作でも主人公。
しかし、本作の主な舞台は地球。地球は、開祖らも簡単に入ることが難しい世界となっていた。環境汚染、シンギュラリティ、その後の騒乱、軌道衛星の落下で荒廃した地球は、仮想現実における人間、人工知能、プログラムのかけらが魔法と魔神の世界のように混ざり合い、それが実際の、現実の人間たちの行動を変容させてしまう力を持っている。逆に、その力を使うことができたものは、現実の人間たちを動かし、世界を動かすこともできる。アラビアンナイトの世界。そこにある、何かを求めて、フランブールは地球に行くことになる。
それと平行して起きる、宇宙空間での怪盗とミエリとフランブールと開祖と、「敵」の物語。
眠いときや疲れているときに読むと、どこまで読んだか分からなくなる。
難しい。なんとなく分かったけれど、どこをエンターテイメントとして楽しめば良いのか、分からない。分からない理由が、(繰り返しになるが)自分の教養のなさだと分かっているからちょっと腹立たしい。
2015.12.19