強行偵察 宇宙兵士志願2
マルコ・クロウス
LINES OF DEPARTURE
2014
続編は5年後。主人公のアンドリュー・グレイスンが二等軍曹に昇進し、軍との再契約を済ませたところから物語はスタート。70光年線近くにあった人類のコロニーはもはやなく、数年前に数百あった人類のコロニーは次々と異星種族のコロニー人類殲滅、再テラフォーミング(異星種族向け)で人類が住める環境ではなくなっていった。もはや人類のテリトリーは30光年線まで戻り、コロニーの残りは69。とうてい勝てる相手ではないが、それでもコロニーをぎりぎりまで守り、可能ならば異星種族の足を止めるために、人類は闘っていた。しかし、そのような異星種族による人類駆除を前にしても、北アメリカ連邦と中国ロシア同盟の戦いは終わらず、相変わらず、敵は人類同士でもあった。
しかも悪いことに、地球上の状況は悪化の一途を辿る。人類は2年前だからたぶん2111年頃に300億人となり、北アメリカには30億人がひしめいていた。これまでまがいなりにもコロニーという新天地を提示し、閉塞した地球上の気候、環境、生活への逃げ道をみせることで抑えていた社会は、コロニー行きの中止、食糧配給の削減、社会資本の低下などで、この5年でさらに悪化し、もはや無秩序同然となっていった。このままでは、人類は自ら滅亡の道をたどりかねないとさえ思われる事態である。
という背景の中、グレイスンは宇宙艦船の戦闘管制員という専門技術スタッフになり、最前線の現場から艦船の攻撃力を操作する重要な位置を占めるにいたっている。恋人のハリーは中尉に昇進し、そのたぐいまれなるパイロットの能力を戦闘飛行学校での指導教官という形で活かしている。
で、成長したハリーの激しい戦闘の物語である。地球での母との再会、ハリーとの関係、かつての上官との共闘など、軽い読み物として順調に物語は進んでいく。ちょっとご都合主義的なところはあるけれど、ご都合主義だからできる物語なのだ。気にすんな。
とにかく、この作品群の特徴は、地球は惨憺たる有様で、人類はえらい目に合っているってことだ。そこが読みどころ。
あと100年、何とかしようぜ兄弟。
このままシリーズ化して7作品まで出ているらしいが、翻訳されるのか?
(2019.10)