巨神覚醒
WAKING GODS
シルヴァン・ヌーヴェル
2017
3部作の2作品目。前作でようやくなんとか動いた地球の各地に埋められていた異星のロボット。テーミスと名付けられ、新設された国連地球防衛隊EDCの所属となった。分からないなりにも武器を使うことができるようになった今、現在の人類ではどうしようもない強力な力を持つことで、アメリカ1国が所有していたら世界の軍事バランスが壊れ、終末戦争になりかねない。そこで、妥協案としてできたのがEDCなのだ。さらに、もうひとつの理由付けとして、このロボットの本来の持ち主である異星人が必ずしも友好的ではないだろうと、そして、テーミスを人類が動かしたことでなんらかの動きが起きるかも知れないという恐怖があった。地球の各国政府はしぶしぶながらも協力体制を整えた。
EDCの当面の主要任務は、パイロットが限定される理由の解明とテーミスの機能の解明である。また、一度死んだローズ・フランクリンが別の場所で発見された理由も分からない。さらに、インタビュアーが心の底から恐怖を感じた男の存在もある。彼は、インタビュアーさえ知らないテーミスの秘密や背景を知っているようなのだ。
それらの前作で残された謎もある。
そして、あれから9年、1体のロボットが忽然とロンドンの公園前に現れた。テーミスに似ているが、より大きく、より新しそうなロボット。EDCは英国政府に軍事的な行動をとらないよう自重を求めるとともに、テーミスを船でイギリスへと搬送はじめた。
出現後、身動きもしないロボットに焦れた英国政府はテーミスの到着を待てず念のために攻撃部隊を近づけさせる。その接近を受けて突然攻撃を行うロボット。周辺には甚大な被害が。
テーミスの到着と、パイロットによる機転によってなんとかロボットの動きを封じることができた。今回の事態を受けて、テーミスの移動は歩行以外にも瞬間的な移動方法があることを知ったEDCは、その方法の解明に全力を挙げていた。しかし、瞬間的な移動の方法を模索しているうちにその姿を消してしまう。どこに行った、テーミス。
その不在のなかで、ロンドンに新たなロボットが姿を現す。ロンドンだけでなく、世界の主要都市に11体のロボットの姿が。
地球に大きな危機が押し寄せる。
異星人たちの目的はなにか、テーミスはそれを防げるのか、人類はどうなるのか?
ついに地球を舞台にしたロボット大戦がはじまる、のか?
今回もまたインタビューアーの記録や、それ以外にも手記、メール、通話記録などのファイルの積み重ねで物語が紡がれていく。
ふたりのパイロットの関係性、ふたりの科学者のマッドな姿、EDC指揮官の苦悩、インタビュアーの秘密、などなど、ロボットに花を添えるストーリーも炸裂。
さて、どうなる?
(2020.08)