天国への門

天国への門
THE GATES OF HEAVEN
ポール・プロイス
1980
 妹の家に長年出張していた本。1983年に初版が出て、第2刷が12月。ということは、大学1年の冬に実家で買って読んで置いといたんだろうなあ。
 先日読んだ「アンドロメダのA」は1960年代で、はじめての電波望遠鏡(1機)からの話だったが、こっちはさすが80年代である。 幻に終わったサイクロプス計画が生きていることになっていて、時代は2037年となる。長年の異星知性探査計画は何の成果も得られていない。一方、宇宙開発は一度花開き、月やL-5(ラグランジュポイント5)にコロニーができたが、その後核融合技術により地球は再び内側に閉じこもるようになりつつあった。
 そうして、ついにその日が来た。何度も探査対象となっていたタウ・ケチからの通信が入ったのだ。わずか12光年先の恒星系からの通信。世界は興奮する。
 しかし、その通信は12年前にブラックホールに消えた船からの声だった。
 ブラックホールの性質の理解が間違っていたのか? どんな条件ならばブラックホールから抜けられるのか? タウ・セチ系には人類が居住可能な惑星があるのか? そうして、彼らは生きているのか?
 その謎を解き、救出するための作戦がはじまった。
 後半にいくほどストーリーがばたばたになっている。良い言い方をするならば、息もつかせぬ展開ってことでもある。今なら3倍の分量になりそうな内容でもある。
 さてさて。
 2015年である。書かれた時点よりも、書いてある時点に近くなってきた。
 そこには古い未来があり、果たされていない未来がある。
 想像以上に宇宙開発は進まず、月に最後に人類が行ったのはいつのことじゃったかのお。
 ISSの次は見通せず、書かれていることで、身につまされるのは気候変動(温暖化)ぐらいなもの。
 これから50年後、人類はもう少し宇宙に目を向けているだろうか?
 ちとネタバレになるが、異星生態系がちょっとだけ出てくるのよ。
(2015.5.31)