第二段階レンズマン

第二段階レンズマン
SECOND STAGE LENSMAN
1953
E・E・スミス
 レンズマンシリーズ3巻目は「第二段階レンズマン」新しい巻が出るごとに、主人公も敵も一段階上昇するのは古典スペースオペラSFの基本。「少年ジャンプ」の基本か?
 発行年は1953年だが、初出は第2次世界大戦前後。優生思想、女性は銃後または軍の看護部隊という設定は時代を反映していて、たとえば、男女ともタバコをよく吸っている。これも時代が反映されたもの。そのあたりは理解していないと読みにくいし、私が最初に読んだ40年前よりも2019年の今の方がより「読めなく」なっているだろう。
 それだけではない、SFをはじめ、娯楽小説も進化した。心理描写、設定の必然性、SFにおける外挿、伏線など、小説技法も高度化している。
 それでも、レンズマンシリーズは歴史的にのこす価値のある作品である。
 それは、後のたとえば「スタートレック」や「スターウォーズ」などにも明らかに影響を与えているし、スペースオペラの壮大さは、なによりここから始まったのである。
 アリシアのメンターの導きにより、レンズと主人公キムボール・キニスン本人の持つ最大限の能力を開発・拡張し、第二段階レンズマンとなったグレー(独立)レンズマン。他にも第二段階レンズマンとなった龍のようなヴェランシア人ウォーゼル、リゲル人トレゴンシーと連携しながら、宿敵の宇宙海賊ボスコーンを追い詰めていく。
 ストーリーのパターンは同じ。それもまた読者の安心材料でもあるのだろう。
 正義は勝つのである。そして、新たな強大な敵の影が見えるのである。
 じゃーん。
(2019.5.18)