TVアニメ まんが日本史

 1983年~84年にかけて日本テレビ系で放映された全52話のテレビアニメ。日本の旧石器時代からはじまり明治時代の入口までを紹介するアニメーションである。アニメとしては声優は豪華だが絵作りや効果音などは低予算が否めない。各時代ごとのエピソードを主に時の権力者に焦点をあて、ときどき文化や民衆の暮らしなども織り交ぜながら日本の歴史を駆け足で描いた作品である。
 エンディングには現代に戻って裕子おねえさんが男の子と女の子の兄妹にちょっとした解説や兄妹からの質問に答える形でまとめをしている。その後、同時代の世界史から主に中国、ヨーロッパ、中東から南アジアのエピソードを2つぐらい紹介する構成となっている。
 wikiなどによると、2014年にHDリマスターされ、その際に、一部の史実的な補足、修正をナレーションや画面で行なっているという。しかし、ほとんどは制作当時のままとみられる。
 日本史の勉強としてはざっくりしたものだし、デフォルメもされているので、そのままを受け止めることはできないけれど、歴史の復習や日本史のおおまかな流れを把握するにはよい学習漫画であった。
 なにより楽しかったのは裕子おねえさん無双である。教科書的な本筋の日本史は権力者が権力につき、やがて別の権力者に代わることを描くわけだが、まあみごとなほどに「権力を握るものは権力にとりつかれる」ことについて時の権力者が登場し、なにかことを起こすたびに、それを一言で切りまくり、結局、農民をはじめとする「民(たみ)」が苦しむということを、アニメの無表情な絵柄で他人事のように語るのである。
 その一言が聞きたくて最後まで見てしまった。

 このアニメは日本テレビ系で地上波放送されたようだが、当時はバブル経済初期、第一次中曽根政権のころである。それまでの日本の総理大臣と違って、「大統領的」な総理大臣と言われ、行政改革、民間活力、アメリカとの軍事関係などに力を振るっていた時代である。ジャパンアズナンバーワンの時代である。そのような中で、このアニメでは、繰り返し「権力を持ったものは、最初はどんなに善い動機であっても、それに固執し、腐敗し、人々を苦しめる」ことを表現するのである。
 果たしていま同じように日本史をアニメーションでやったらどうなるだろうか?
 長引く不況と政治経済の面で国際的な地位の低下が起きている中で、メディアには「日本はすごい」論調があふれ、ナショナリズムが高まっているいま、同じように日本史を語ることができるだろうか。
 そういう感慨にかられてしまうほどに裕子おねえさん無双は強烈だった。
 ちなみに裕子おねえさんの声は、杉山佳寿子さんである。