亡霊星域

亡霊星域
アン・レッキー
2014
ANCILLARY SWORD
「叛逆航路」の続編。久々に新刊を読む。読みたい本は多くあるけれど、いろいろあってなかなか本をゆっくり読む気になれない。
 前作では、大規模宇宙戦艦の人工知能として多くの人間のボディに精神を分身として入れ、かつ並列化して操っていたのに、その本体の戦艦が破壊され、たった1体だけ人間の肉体を持って残された主人公ブレクの復讐の旅であった。
 今回、ブレクは新たな戦艦を人間として率い、艦隊を指揮する権限を持つ艦長として登場する。性別を区別しない人間社会で、人工知能、人工知能的に振る舞う軍人、人間的に振る舞う軍人や民間人、貴族的民間人、そして、文化風習の違う星。
 元戦艦AIであることと、様々な経験を人間という立場でくぐり抜けてきたブレクが、星をめぐる危機に対処する。
 自らが指揮する戦艦で起きる人間関係、文化風習の違う星で起きる人間関係、さらには、ブレクの正体を知る若干名との関わり…。後書きに書かれている通り、今回は、静かに、静かに物語が密室劇のように進む。
 性別を明記しない記述の中で、人間くさいドラマを繰り広げながら、人間性、人間の強さ、弱さ、正義、不正義ってなんだろうと、お説教くさくなく考えさせるドラマ。
(2016.7.31)