三体

三体
THREE-BODY PROBLEM
リウ・ツーシン
2006
 読んだ。壮大な序曲である。1967年、文化大革命に揺れた中華人民共和国。その大波に翻弄された科学者の親子がいた。そして、40数年後、その科学者の子が殺された。その科学者だけでなく、世界中の基礎科学者が次々となぞの死を遂げている。
 ワン・ミャオはナノマテリアルの開発責任者。ある日、軍警察関係者が職場を訪ねてくる。そして、事態が動き出し、ワンは巻き込まれていく。基礎科学者ではないのに、ワンは命を狙われていく。そして、ある組織が接触し、ワンにナノマテリアルの開発をやめるよう働きかける。断るワンに、その組織は言う。「あなたのために宇宙を動かしてあげる」。そして、宇宙が動いた。壮大すぎる。
 中国語の作品にどうして英訳者の大森望さんが入っているのか不思議だったが、あとがきを読んで納得。中国語で執筆、その後、英訳されアメリカでヒット、日本ではすでに中国語訳が出版されていないまでも存在。中国語版はSF翻訳者ではない方々によるもの。しかも、中国語版と、その後の英語版では構成が少し異なっていて、著者は英語版の流れが本意だとも言う。そこで、日本に存在していた中国語訳と英語版をベースに、SF翻訳者である大森氏が逐文チェックしながら整理。手間のかかる仕事になったとのこと。
 それだけに英語版とも中国語版とも違う日本版となった。
 発表されたのが2006年。中国の経済社会が沸き立っていた時期。文革についても(ある程度は)書けるようになったのだなあ。中国が主な舞台だし、文革期が物語の導入や登場人物の動機を形成しているけれど、作品としてはとてもインターナショナルだし、SFとしてはハード中のハードと言ってもいい。荒唐無稽でもある。エンターテイメント。すごいね。
 続編はまだー。
(2019.12)